rural2013

過去にこれほどまでに急成長を遂げた野外パーティーがあっただろうか。
rural 2013(http://www.rural-jp.com/)は7月13日、14日、15日の三日間に渡り、昨年同様に山梨の玉川キャンプ村(http://www8.plala.or.jp/tamacamp/)で開催された。2009年よりスタートしたこのパーティーはノンスポンサーにインディペンデントな企画と運営、最初は誰も気にとめない小さなパーティーだった。それが、たった5年でリミテッドの500人をあっという間に越え、臨時に用意したキャンプサイトと駐車場用のスペースもほぼ埋め尽くされるという勢いまで達した。


Text : Kana Miyazawa
Photo: Jiro ken, Ryosuke Asanuma, Arisa Ito

■rural2013
http://www.rural-jp.com/
何より他のパーティーにはないコアなブッキングや"分かる人だけ来れば良い"といったどこにも媚びないそのアンダーグラウンドな姿勢にも注目が集まっている。
今年も初来日となったルーマニアのテクノDJ Cezarをはじめ、貴重な来日となったCio D'Or、TR-101として出演するSleeparchive とDJ Peteがそれぞれ個人名義での2ギグを行うなど、贅沢かつ独創的なラインアップに注目が集まった。

会場に着いた頃にはすでに夕方になっており、メインステージはトップバッターであるKoheiによってオープニングの幕を開けていた。ほとんどテントで埋め尽くされた川沿いにどうにか場所を確保し、落ち着いた時には辺りはすっかり夜になり、DJはCezarへと変わっていた。
初日、個人的に最も素晴らしいと感じたのはRODHADだ。ruralといえば、ベルリン仕込みの固いハードなミニマルサウンドを得意とするアーティストが中心とあって、RODHADの地を這う太いベースラインに、メロディアスで叙情的な音はとても印象深かった。森林に溶け込む心地良いディープ感に酔いしれながら、暗闇から青白い朝へと移り変わってゆく最高の瞬間を味わうことが出来た。野外の醍醐味はこういった自然現象による演出を味わえることでもある。
登場からその存在感に圧倒されたのがCio D'Orである。とにかくスタイリッシュで、異色を放つビジュアルとは裏腹に男顔負けの力強いテクノサウンドで長時間に渡り、オーディエンスをグイグイ引っ張っていくプレイは圧巻だった。この時点ですでに2日目の昼近くを迎えていた。

夜通し固い四つ打ちの闇に包まれ続けるパーティーは相当のテクノマニアでないと楽しめない。筆者自身もDeep House好きとあって、緩めの音を欲してしまうのが例年だった。でも今年はとにかくサウンドシステムのすばらしさに改めてテクノの良さを実感させられた。カッチカチのテクノが緑の中を抜け、とてもクリアーで心地良さだけが残り、ずっと踊っていたい気持ちにさせてくれた。

そして今回、個人的に何よりも楽しみにしていたのが、来日の度に見る機会を失っていたSleeparchiveだ。たった1時間のライブだったが、終わった後にしばらく放心状態に陥るぐらい衝撃を受けた。一切のライトが消され、真っ暗闇の中、自身のトラックである"Elephant Island"が森中に響き渡り、歓声とともに革命児Sleeparchiveによる怪しくて美しい独創的な世界がスタートした。音数の少ないシンプルなミニマルをベースに、クレイジーなノイズを絶妙なタイミングで入れ込み、漆黒の闇に怪しいボイスサンプリングをエンドレスにループさせる様はまさに奇怪。どんどん深いところへ填めていく。ジャンルレスで予想がつかない展開を得意とするSleeparchiveならではのGoing my wayなライブは終始全身の鳥肌が止まらなかった。
日本勢も負けてはいない。3年連続出演となったDJ NOBUの男気溢れる攻めのプレイはベテランのベルリン勢と肩を並べて世界でプレイする数少ない日本人として、その貫禄と底知れぬパワーには毎回感心させられる。2年連続出演のGonnoによる野外で3時間セットというのも贅沢な時間だった。後半になるに連れ、引き込んでいく全く飽きのこない展開は見事だった。

そして、今回のトリを務めたのがすでにruralのレギュラーゲストとしても知られるClaudio PRCだ。彼はこのパーティーをきっかけに知り合い、何度かプレイを見させてもらっている。自身のレーベルであるprologue(http://www.prologue-music.com/)といえば、ちょっとひんやりとした感じさえするエクスペリメンタルなミニマルが代表的だが、
Claudioは野外での抜群の安定感とオーディエンスを包み込む何とも言えないHappyな空間を作り上げ、昼間の気温同様に会場内は最高潮にヒートアップしていた。
他にも素晴らしいと感じたのは、オーガナイザーチームを含む、約30組のアーティストがプレイした川沿いに設置されたセカンドステージである。とても幻想的で別世界な空間が広がっていた。川向こうにはライブペイントやLEDを使用したデコレーションアート、木々を照らすライティングが絶妙にマッチングし、チルスペースとしても最適。セカンドステージから川沿いに続くテントサイトは終わりが見えないほどテントが並び、まさに1つの"rural(村)"がそこには存在していた。
他にもSolfaによる本格的なバー、豊富なメニューのフード、癒しのマッサージ、キャンプ場内に設置されている温泉など音以外の完成度も高い。さらにはトイレ掃除の徹底、率先してゴミの片付けを行うなど他のレイブパーティーではなかなかないキレイな環境を保っていたことにも感心する。

今回のruralを経て、昨年Hard Waxを取材した時のことを思い出した。"有名になりたいと思ってやってきたわけではない。自分たちが良いと思ったものを自信を持って、ただひたすら伝えてきた。そうした結果が今にある"ruralもまさにその通りになっていくのだろう。来年への期待は膨らむばかりだが、身近な存在のまま、アンダーグラウンドポリシーを変わらず貫いていって欲しい。